解脱を分類する

道・果を得ることを解脱と言います。三特相のいずれかを所縁として随観することで、その所縁に応じた方向から解脱に至ります。

つまり、
  • 無常相を所縁として無常を随観することで、無相解脱が得られます。
  • 苦相を所縁として苦を随観することで、無願解脱が得られます。
  • 無我相を所縁として無我を随観することで空解脱が得られます。
さらに、それぞれの随観については以下に詳しく述べます。

無常随観

相とは形、姿などの特徴のことです。つまり凡夫は名色に対して何かしらの形、姿などの特徴をとらえてそれに執着します。

この執着から離れるために、固定した相は存在せずに、すべて名色は生滅の変化の流れである(無常である)ことを随観します。

よって無常随観によって得られる解脱を無相解脱と呼びます。

苦随観

名色に対して楽を見るから「欲しい」という願いが生じます。

苦随観とは、あらゆる名色は苦のみであるとあるがまま見ることで、それによって名色に対する渇愛という願いを断ち切ります。

よって苦随観によって得られる解脱を無願解脱と呼びます。

無我随観

凡夫は名色の中に「我」という実体があると見て、「これは私だ」とか、「これは私のものだ」というように執着します。

無我随観では、名色のどこを探しても我という実体は存在しない、つまり空であると随観します。

よって無我随観によって得られる解脱を空解脱と呼びます。

例えば、登山ルートが3つあっても、結局どのルートも目指す目標は頂上であるように、3つの随観のいずれかの方法で頂上である解脱を目指すイメージです。