優先順位による四業

業の働きには優先順位があり、優先順位の高いものから順番に異熟をもたらします。このように優先順位という視点から見たときに下記の4つの分類があります。
  • 重業・・・最優先される
  • 近業・・・2番目に優先される
  • 久習業・・・3番目に優先される
  • 已作業・・・優先度は一番低い

重業

まず、一番優先度が高いのが重業です。重業は他の業が妨害したり殺害したりできないほどにとてもエネルギーが強く、どの業よりも優先して異熟をもたらします。

例えば、善の重業になるものは、禅定に入った時につくられる善業があります。この禅定に入った時につくられる善業は非常に力が強く、死後必ず梵天界に生まれる異熟をもたらします。

また、不善の重業になるものは、五無間業があります。五無間業とは死後必ず無間地獄に結生する5つの強い不善業です。

五無間業は以下の通りです。
  1. 母を殺すこと
  2. 父を殺すこと
  3. 阿羅漢を殺すこと
  4. ブッダの身体から血を流させること
  5. 僧団の和合を壊すこと

近業

近業とは、亡くなる直前に生まれる心によってつくられる業のことです。

近業は、重業の次に優先的に異熟をもたらします。ですから、もし誰かが亡くなるときは、まわりが泣き叫ぶのはあまりいいことではありません。

というのも、まわりの泣き叫びを見聞きして、亡くなる人の心にも不善心が生じる可能性があるからです。

ですから、まわりの人のつとめとしては、亡くなる人が善い心(業)をつくれるようにサポートしてあげる必要があります。

久習業

重業、近業に次いで3番目に優先される業が久習業です。久習業は日常的な習慣によってつくられる業です。

例えば、善業のケースで言うと、布施をする習慣、戒を守る習慣、瞑想をする習慣などがあてはまります。

逆に、不善業のケースで言うと、殺生をする習慣、盗みをする習慣、お酒を飲む習慣などがあてはまります。

また、自分が行っている習慣を何度も思い出して反芻するときに生まれる業も久習業に分類されます。

已作業

異熟をもたらす優先度が最も低いのが已作業です。已作業は、重業、近業、久習業のどれにも当てはまらない今生の業か、過去生につくられた業のことです。