意門路-欲界速行の場合

五門路では、
  • 眼は色所縁
  • 耳は声所縁
  • 鼻は香所縁
  • 舌は味所縁
  • 身は触所縁
というように、五つの感覚器官それぞれに、対応する物質(所縁)が一つずつありました。

これらの五所縁は仏教的に言うと、どれも17心刹那の寿命を持ったれっきとした物質です。一方で、意門がとる所縁は法所縁と言われ、以下のものが該当します。
  • 浄色5
  • 細色16
  • 心所
  • 施設
  • 涅槃
欲界心の場合、涅槃を所縁にとることはありませんので、以下のような分類になります。
  • 物質を所縁に取る・・・浄色5、細色16
  • 物質以外を所縁に取る・・・心、心所、施設
また、意門路は次の2つのパターンがあります。
  • 明瞭所縁による意門路
  • 不明瞭所縁による意門路

明瞭所縁

明瞭所縁
  • (有分心)
  • 有分動揺
  • 有分捨断
  • 意門引転
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 彼所縁
  • 彼所縁
  • (有分心)
イメージ・概念がはっきりしている場合は、上のように有分動揺に始まり、彼所縁で終わります。またこのとき過去有分は最初に生じません。

というのも、過去有分は物質と比較したときの概念なので、この場合は無関係だからです。明瞭所縁は12心刹那で終了します。

不明瞭所縁

一方、イメージ・概念がハッキリしていない場合は次のような流れになります。

不明瞭所縁
  • (有分心)
  • 有分動揺
  • 有分捨断
  • 意門引転
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • 速行
  • (有分心)
速行の後に彼所縁2回が生まれないわけですね。10心刹那で終了です。

まとめ

五門路の場合は、大所縁、小所縁などで分け、意門路の場合は明瞭、不明瞭で分けた。

この2つの違いは、五門路の場合は所縁を基準で分けているのに対し、意門路の場合は心を基準に分けているということだ。

どういうことか?
  • 五門路の場合は、所縁によって生じる心が変わる。だから所縁が主、心が従。
  • 意門路の場合は、心の状態によって生じる所縁が変わる。だから心が主、所縁が従。
ということだ。