欲善趣地

欲界地は、
  • 地獄などがある離善地
  • 人界などがある欲善趣地
の2つに分けられます。

  • 離善地は、欲界地の中でも生命レベルが低い世界
  • 欲善趣地は、欲界地の中でも生命レベルが高い世界

と解釈できます。

欲善趣地には、
  • 人界×1種類
  • 天界×6種類
の計7種類が存在します。

人界

私たち人間が属する生命世界。

悪業をつくろうと思えば、五無間業(※)までも作ることができ、善業をつくろうと思えば悟りに達することもできる世界です。

人とは善とも悪とも一定しない心を持ち、善業(良い行い)、悪業(悪い行い)の両方を知ることができる生命体です。

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※五無間業とは

生まれ変わると地獄でも最も苦しみの多い無間地獄に落ちてしまう、最も強い悪業。

具体的には
  • 母を殺すこと
  • 父を殺すこと
  • 阿羅漢(最高レベルにまで悟った人)を殺すこと
  • 仏陀の体から血を流すこと
  • 僧の和合を壊すこと
の5つを指します。

四大王天

6つある天界の一番下のランクの天界。
  • 持国
  • 増長
  • 広目
  • 多聞
という四天王によって治められていることから四大王天と呼びます。

またこの天界の生命体は須弥山という天界にある山の中腹から麓にかけてを住みかとしています。山、森などの地神や堕処の阿修羅などもこの世界に住んでいます。

また、堕処の阿修羅とは離善地の阿修羅とはまた別の生命体です。ここで言う堕処の阿修羅とは天界の生命体を指します。

三十三天

6つある天界の下から2番目のランクの天界。

善業を積んだ33人の青年が生まれ変わった場所が、ここの天界であったことからこの名前があります。天界にある山とされる須弥山の中腹から頂上にかけて住んでいるとされます。

夜摩天

6つある天界の下から3番目のランクの天界。

夜摩とは、もともと古代インド語であるパーリ語から派生しており、「苦しみから離れる」という意味があります。

つまり、夜摩天とは苦しみから離れいつでも楽を受けられる生命体のことを意味します。この天界は須摩天(すやま)という王が治めています。

なお、この天界より上の天界は須弥山の上空を住みかとして住んでいます。(空居天)

兜率天

6つある天界の上から3番目のランクの天界。

非常に喜びの多い天界です。自分で悟りを開くブッダは必ず人間界に生まれるとされますが、そのブッダが人間界に生まれ変わる直前にいる世界がこの兜率天です。

楽変化天

6つある天界の下から2番目のランクの天界。

この天界の生命体は、自分が欲しいと思ったものを自由に目の前に作り出して楽しむことができます。よく「思えば叶う」と言う人がいますが、本当に思った瞬間にかなってしまうのがこの世界です。

他化自在天

6つある天界の最上ランクの天界です。

この生命になると、自分でわざわざ欲しいものをつくらなくても、他の天界の生命が自分の欲するように何でも作ってくれます。仏教では悪魔(マーラ)という生命体も出てきますが、このマーラも他化自在天の生命体なのです。