涅槃

涅槃とは苦しみが滅尽した究極の幸せの状態です。

この涅槃は次の四道智によって、直接目で見るように知られるものです。
  • 預流道智
  • 一来道智
  • 不還道智
  • 阿羅漢道智
道智を得る前に欲界で「涅槃とはこれこれである」と認識しているものは憶測に過ぎません。

道・果の所縁となり、縫合と言われる渇愛から脱出しているため涅槃と言われます。

また、ここで言う縫合とは、渇愛が現有(今生)と次有(来生)を結び付けて輪廻転生させることからこう呼ばれます。

有余涅槃と無余涅槃

有余涅槃

有余涅槃とは阿羅漢になった人が、まだ生きている状態で体験する涅槃のことです。現法涅槃、煩悩涅槃とも言います。

無余涅槃

また、亡くなった阿羅漢が体験する涅槃を無余涅槃と呼びます。當来(当来)涅槃、蘊涅槃とも言います。

空涅槃と無相涅槃と無願涅槃

涅槃を形相によって次の3種類で表現することもあります。

空涅槃

涅槃には、貪瞋痴・名色がないため、その何もない様子を空形相と呼びます。涅槃は空形相を備えているため空涅槃と呼ぶこともあります。

無相涅槃

相とは性質のことです。

色(物質)はもちろん形状などの性質を持ちますし、名(心)もそれぞれの状態をもちます。

しかし、涅槃には名色のような特定の形状を持たないため、この状態を無相と言います。そして、無相の形相をもつ涅槃は無相涅槃とも呼ばれます。

無願涅槃

無願とは、願いがないという意味です。

つまり、涅槃には渇愛に基づく願いがなく、願いの対象ともならないため無願の形相があります。そのため無願涅槃と呼ばれます。