名色が名色に対しての縁

心、心所、物質が別の心、心所、物質を生じさせる縁についての説明です。この縁は次の9種類あります。
  1. 主縁
  2. 俱生縁
  3. 相互縁
  4. 依縁
  5. 食縁
  6. 根縁
  7. 不相応縁
  8. 有縁
  9. 不離去縁

主縁

主縁とは、後に生じる所縁所生を自在にコントロールするような力のある縁という意味があります。そして主縁には次の2つがあります。

所縁主縁

所縁主縁とは心をとりこにする非常に好ましい所縁のことを言います。非常に好ましい所縁ですので、好ましくないものは所縁主縁に含みません。

具体的には
  • 好ましい完色18
  • 心84(瞋根心2、痴根心2、苦俱身識1をのぞく)
  • 47心所(瞋、嫉、慳、悪作、疑をのぞく)
  • 涅槃
が所縁主縁になります。そして、所縁主縁所生となるのは以下のとおりです。
  • 貪根心8
  • 大善心8
  • 大唯作智相応心4
  • 出世間心8
  • 45心所(瞋、嫉、慳、悪作、疑、無量をのぞく)

俱生主縁

意欲、精進、心、慧といった四主が主となった時、共に生じる名色を自在にコントロールできます。このとき、四主のことを俱生主縁と言います。

ちなみに痴根心2、笑起心は因の数がそれぞれ一因、無因であるためエネルギーが弱く、俱生主縁には含みません。

あくまで
  • 二因、三因のエネルギーの強い速行心52
  • 二因、三因の速行心に相応する意欲心所
  • 二因、三因の速行心に相応する精進心所
  • 三因の速行心に相応する慧根心所
が俱生主縁です。また、以下が俱生主縁によって生じる俱生主縁所生です。
  • 俱生主縁になっていない二因、三因の速行心52
  • それに相応する疑を除いた心所51
  • 俱生主縁が速行のときに生じる色
例えば、俱生主縁として貪根心がはたらいた場合、俱生主縁所生には貪根心が含まれないということですね。

俱生縁

俱生とは共(倶)に生じるという意味です。つまり、共に生じる(同起する)縁が俱生縁です。俱生縁には次の3つのパターンがあります。

心心所

無色界地に結生する場合、業(行)によって識蘊(異熟心)が生じ、識蘊によって受蘊、想蘊、行蘊が生じます。

このとき、識蘊は俱生縁であり、受蘊、想蘊、行蘊は俱生縁所生になります。また、同じように受蘊が俱生縁となる場合は、残り3蘊が俱生縁所生となります。

次に五蘊地(欲界、色界)に結生する場合、業(行)によって識蘊(異熟心)が生じ、識蘊によって名色(受蘊、想蘊、行蘊、色蘊)が生じます。

このとき、識蘊は俱生縁であり、受蘊、想蘊、行蘊、色蘊は俱生縁所生になります。また、同じように名蘊(受蘊、想蘊、行蘊)が俱生縁となるとき、残りの識蘊、色蘊は俱生縁所生となります。

四大種

色聚にも心心所と同じように、同起・同滅・同所縁という関係性があります。例えば、純八集は不簡別色8のことですが、この中に地界が含まれています。

色聚は同起・同滅・同所縁という関係があるため、地界が俱生縁となる場合、残りの大種3と依止色が俱生縁所生となります。

基・異熟

五蘊地(欲界、色界)に結生する場合、業(行)によって識蘊(異熟心)が生じ、識蘊によって名色(受蘊、想蘊、行蘊、色蘊)が生じます。

このとき、識蘊は俱生縁であり、受蘊、想蘊、行蘊、色蘊は俱生縁所生になると述べました。ということは、名蘊4(識蘊、受蘊、想蘊、行蘊)と色蘊である心基も同時に生じるはずです。

つまり、
  • 名蘊(受蘊、想蘊、行蘊)が俱生縁になるとき、心基(色蘊)は俱生縁所生
  • 心基(色蘊)が俱生縁になるとき、名蘊(受蘊、想蘊、行蘊)は俱生縁所生
となります。

相互縁

基本的には、俱生縁と考え方は同じで、以下の3つのパターンがあります。
  • 心心所
  • 四大種
  • 基・異熟
詳細は俱生縁を参照してください。

依縁

依縁とは依りどころとなる縁という意味です。例えば、ご飯を食べるためには、お皿や箸なども必要ですが、根本的に稲や田んぼなどがないとご飯を食べれませんね。

このとき、
  • 稲や田んぼなど根本縁に依りどころとなるものを親依縁
  • お皿や箸などのその場その場で依りどころとなるものを依縁
と言います。依縁には次の2種類あります。

俱生依縁

俱生依縁は俱生縁と内容は同じです。

基前生依縁

基前生依縁はさらに次の2種類に分類できます。

基前生依縁

まず、基前生依縁とは、「前に生じた基に依存して生じる」というような意味になります。具体的には以下のものです。
  • 過去有分と同時に生じる中寿の眼基(耳基、鼻基、舌基、身基)
  • 結生心と同時に生じる心基
  • 滅尽定から出る直前に生じる心基
  • 死心より17心刹那前の心の生位に生じる六基
まず、眼識が生じるためには、眼基と色所縁が触れる必要があります。

このとき、眼基も色所縁もそれぞれ17心刹那の寿命があり、これらの住位が重なっている時間だけ私たちは色所縁を見ることができます。つまり、眼が無くても見えない。色所縁が無くても見えない。ということです。

ということは、眼基と色所縁が同時に生じたときが最も住位が重なる時間が長くなるわけですね。このときの状態が中寿の眼基と呼ばれます。

結生心と同時に結生業生色が生じますが、それは人間の場合で言うと、身十集、性十集、基十集の3集であり、それらの中にそれぞれ心基が含まれています。

そして、それらの基に依って生じる心が基前生依縁所生です。

基所縁前生依縁

基所縁前生依縁とは、「前に生じた基である所縁に依存して生じる」というような意味になります。具体的には、死心より17心刹那前の心の生位に生じる心基が基所縁前生依縁です。

さらに、基所縁前生依縁所生は以下の通りです。臨終路における
  • 意門引転心
  • 欲界速行29(不善心12、大善心8、大唯作心8、笑起心1)
  • 彼所縁11(大異熟心8、推度心3)
  • 嫉、慳、悪作、離、無量を除いた心所44

食縁

食縁とはいわゆる四食のことで、四食は色食縁と名食縁の2種類がに分類できます。

色食縁

色食縁とは、いわゆる段食であり、生命体の外の滋養素を意味します。そして色食縁(段食)によって生じる、食起因色が色食縁所生です。

名食縁

四食における、残りの3つ
  • 触食
  • 意の思食
  • 識食
が、名食縁と呼ばれます。そして、それらを縁として生じる
  • 心89
  • それに相応する心所52
  • 心生色
  • 結生業生色
が名食縁所生です。例えば、触を名食縁として貪根心が生じるとき、名食縁は触です。

名食縁所生は、
  • 貪根心
  • 貪根心に相応する触を除いた心所18
  • 心生色
です。

根縁

根縁とはいわゆる二十二根であり、二十二根によって生じるものが根縁所生です。
  • 眼根、耳根、鼻根、舌根、身根(五基色)
  • 女根、男根(性色)
  • 命根(命根色命根心所)
  • 意根(89心)
  • 楽根、苦根、喜根、憂根、捨根(五受)
  • 信根、精進根、念根、定根、慧根(五根)
根縁は以下の3種類に分類できます。

前生根縁

過去有分と同時に生じる中寿の五浄色(眼基、耳基、鼻基、舌基、身基)のことを前生根縁と言います。中寿の説明は、依縁を参照してくださいね。また、前生根縁によって生じる
  • 前五識10(眼識、耳識、鼻識、舌識、身識)
  • 共一切心心所7
が前生根縁所生です。五浄色を根と見立てたときに、例えば眼根が前に生じてから眼識が生じるため、このように説明されます。

色名根縁

物質の生住滅を司る命根色が色命根縁です。また、色命根縁所生は
  • 命根色を除いた命九集
  • 命根色を除いた眼十集
  • 命根色を除いた耳十集
  • 命根色を除いた鼻十集
  • 命根色を除いた舌十集
  • 命根色を除いた身十集
  • 命根色を除いた男性十集
  • 命根色を除いた女性十集
  • 命根色を除いた基十集
の9の業生聚です。

俱生根縁

  • 命根心所
  • 意根(89心)
  • 楽根、苦根、喜根、憂根、捨根(五受)
  • 信根、精進根、念根、定根、慧根(五根)
これらが俱生根縁と呼ばれます。また、俱生根縁によって生じる
  • 心89
  • それに相応する心所52
  • 心生色
  • 結生業生色
が、俱生根縁所生です。

不相応縁

不相応縁には以下の3種類があります。

俱生不相応縁

俱生不相応縁とは、共に生じて、かつ、それぞれが別々のはたらきをする縁という意味です。具体的には
  • 心75(無色界異熟心4、前五識10、阿羅漢の死心を除く)
  • その心に相応する心所52
が、俱生不相応縁と呼ばれます。また、俱生不相応縁によって生じる俱生不相応縁所生は
  • 心生色
  • 結生業生色
です。

前生不相応縁

基前生依縁、基所縁前生依縁の2種と同じものです。

後生不相応縁

後生縁と同じものです。

有縁

ただ、そこにあるだけで縁所生に力を及ぼす縁を有縁と言います。有縁は以下の5つに分類できます。

俱生有縁

自性は俱生縁と同じ。

前生有縁

自性は前生縁と同じ。

後生有縁

自性は後生縁と同じ。

食有縁

自性は色食縁と同じ。

根有縁

自性は色名根縁と同じ。

不離去縁

不離去縁とは、自らが去らないことによって、縁所生に影響を与える縁という意味です。内容は有縁と全く同じです。