欲界善趣結生

欲界善趣結生とは欲界善趣地に生まれることです。欲界善趣地に生まれる有情は、以下の9の内のいずれかを結生心として生まれてきます。
  • 無因善捨俱異熟心1
  • 大異熟心8

無因善捨俱異熟心で生まれる場合

人界に結生する場合

人として生まれる場合、次のような障害を持って生まれれてきます。
  • 生来目が見えない
  • 生来耳が聞こえない
  • 生来口をきけない
  • 生来の認知障害
  • 生来の精神障害
  • 生来の性機能障害
  • 生来の両性具有
  • 生来の中性(非男女)
  • 生来のどもり
生来目が見えないとは、本来母親の胎内で眼色が生じるべき時に生じないことを言います。

一度母親の胎内で眼色が生じたにもかかわらず、何らかの事故で眼色を失い、誕生する際に目が見えなくなっている人は生来盲目とは言いません。

天界に結生する場合

天界にも無因善捨俱異熟心で結生する生命がいます。それが、地神に依存している堕処の阿修羅と言われています。

同じ名前ですが、阿修羅衆の生命は離善地の生命で、堕処の阿修羅は天界の生命なので全くの別物です。

そもそも地神とは、地上にある山・森・樹・家などの守護神のことです。

堕処の阿修羅は衣食住が十分でないため、地神に頼って生きています(地神の結生心は二因大異熟心)。堕処の阿修羅も地神も天界の一番下の四大王天に属しています。

大異熟心8で生まれる場合

大異熟心8は欲界善趣地である
  • 人界
  • 四大王天
  • 三十三天
  • 夜摩天
  • 兜率天
  • 楽変化天
  • 他化自在天
のすべての地で結生心、有分心、死心として生じます。

地の四集において、
  • 二因者が、大異熟智不相応心4を結生心として生まれた生命
  • 三因者が、大異熟智相応心4を結生心として生まれた生命
になります。

人間の寿命

人間の寿命は、現在はおおよそ75歳です。

人間の寿命には、だんだん増えていく時期(増劫)、だんだん減っていく時期(減劫)の2つの時期があります。

時期と言っても天文学的なとてつもなく長い期間ですので、私たちにその長さを実感することはできません。
  • 増劫では、人寿10歳より世代ごとに寿命は倍増して、人寿阿僧祇歳まで
  • 減劫では、人寿阿僧祇歳から100年に1歳づつ減少して、人寿10歳まで
というように変動します。

ブッダは、減劫に生まれると言われることから、現在は減劫にあたると考えられます。

人寿阿僧祇歳とは、あまりにも長い寿命と言う意味ではっきりした数字は定かではありあません。また、人寿阿僧祇歳と阿僧祇劫はまた別の概念ですので、ご注意くださいね。

天界の寿命

四大王天衆の寿命

四大王天は人界の一つ上で、天界の一番下の地です。ここの生命の寿命は一定しており、500年です。

しかし、四大王天の1日は人界の50年に相当するため、四大王天の500年を人界の年数に換算すると

50年×360日×500=900万年

となります。

三十三天衆の寿命

三十三天は四大王天より一つ上の天界です。ここの生命の寿命は、1000年です。

しかし三十三天の1000年は、四大王天の2000年に相当します。つまり、四大王天の寿命の4倍になります。

よって、人界の年数に換算すると、

900万年×4=3600万年

となります。

その他天衆の寿命

三十三天より上の天界の寿命は順番に
  • 夜摩天・・・1億4400万年
  • 兜率天・・・5億7600万年
  • 楽変化天・・・23億400万年
  • 他化自在天・・・92億1600万年
となり、寿命は同様にして4倍ずつ長くなります。