色界唯作心

唯作心とは、はたらきだけあって結果をつくらない心でした。

私たちは、普段、不善心・無因心・善心のどれかで生きています。そのほとんどは、次に結果をつくる業というタネを含んでいます。
  • 無因心
  • 唯作心
  • 異熟心
などは、次に結果をつくりませんが、その他の心はすべて何かしら結果をつくる心ばかりなのです。

そして、それをまき散らしながら生きているわけですね。

自分でまいたタネだから、当然自分で受け取らなきゃいけないわけです。(自業自得)
この業が結生心となり、生まれ変わりを繰り返すことになります。(輪廻転生)

業をまきちらしながら生きているのは人間だけではありません。虫も、魚も、動物も、色界の生命であっても、業をつくりながら生きています。

しかし、唯一業をつくらない生命がいます。それが、最高に悟った人(阿羅漢)です。

阿羅漢は輪廻を脱出(解脱)していますから、二度と生命体として生まれてくることはありません。その阿羅漢が、瞑想によって色界のレベルに達しているときの心が色界唯作心と呼ばれます。

ちなみに阿羅漢以外の人が色界に達したときの心は、色界善心となるわけです。もちろん色界善心にも業というタネが含まれています。

分け方

色界唯作心も、色界善心、色界異熟心と同じで5段階に分けます。
  • 初禅
  • 第二禅
  • 第三禅
  • 第四禅
  • 第五禅
阿羅漢が瞑想をして、初禅に入っていれば、そのときの心は色界唯作心・初禅となります。

ちなみに阿羅漢は最高の悟りに達しているので、生まれ変わりの種(業)をつくりません。つまり、今生で最後という事です。

ただ、今生は人間である事に変わりはないので、普段は欲界心で生きています。欲界心とは言え、大唯作心無因唯作心の笑起心のどちらかですが。

ここでもう一度確認ですが、欲界とは生命のレベルの事です。

ですから、阿羅漢は欲界心で生きていると言っても、欲で生きていると言う意味ではありません。人間としての体がある以上、そこは欲界なのですね。

例えば、人の質問に答えるときなどは、どうしても耳という機関を使わなければいけませんね。このように五感からの情報に依存する世界は欲界なのです。

さて、5つの禅にかかわってくる禅支もこれまでと同じです。
  1. 一境性
の5つが禅支で、初禅の場合は全部含まれます。

そこからロケットが加速するたびに燃料タンクを一つずつ切り離すように減っていき、第五禅には一境性だけが残るわけです。