因で分類する

因にはいくつかの意味がありますが、ここでは根っこというような意味です。

つまり、心にしっかり根付く6つの心所のことです。
  1. 無貪
  2. 無瞋
  3. 無痴
ちなみに無痴とは慧根心所の慧の事です。
  • 1~3までが、不善に関するもので
  • 4~6までが、善に関するものです。
ですから、一つの心に最大でも3つまでしか因が入る事はありません。

無因

まず、最初は因が含まれない心です。

これはズバリ無因心18個の事です。

つまり
  • (無因)不善異熟心7つ
    • 捨倶・眼識
    • 捨倶・耳識
    • 捨倶・鼻識
    • 捨倶・舌識
    • 苦倶・身識
    • 捨倶・領受心
    • 捨倶・推度心
  • (無因)善異熟心8つ
    • 捨倶・眼識
    • 捨倶・耳識
    • 捨倶・鼻識
    • 捨倶・舌識
    • 楽倶・身識
    • 捨倶・領受心
    • 捨倶・推度心
    • 喜倶・推度心
  • (無因)唯差心3つ
    • 五門引転心
    • 意門引転心
    • 笑起心
の事ですね。

一因

因が一つだけ含まれる心です。

因:痴

  • 疑相応
  • 掉挙(じょうこ)相応
の痴根心2つです。ともに、痴が一つだけ含まれます。その他の因は含まれません。

二因

因が2つ含まれる心です。

因:貪+痴

貪根心8つです。
  • 貪根心・喜倶・悪見相応・無行
  • 貪根心・喜倶・悪見相応・有行
  • 貪根心・捨倶・悪見相応・無行
  • 貪根心・捨倶・悪見相応・有行
  • 貪根心・喜倶・悪見不相応・無行
  • 貪根心・喜倶・悪見不相応・有行
  • 貪根心・捨倶・悪見不相応・無行
  • 貪根心・捨倶・悪見不相応・有行

因:瞋+痴

瞋根心2つです。
  • 瞋根心・憂倶・無行
  • 瞋根心・憂倶・有行

因:無貪+無瞋

欲界善心の智不相応が4×3=12
  • 大善心・喜倶・智不相応・無行
  • 大善心・喜倶・智不相応・有行
  • 大善心・捨倶・智不相応・無行
  • 大善心・捨倶・智不相応・有行
  • 大異熟心・喜倶・智不相応・無行
  • 大異熟心・喜倶・智不相応・有行
  • 大異熟心・捨倶・智不相応・無行
  • 大異熟心・捨倶・智不相応・有行
  • 大唯作心・喜倶・智不相応・無行
  • 大唯作心・喜倶・智不相応・有行
  • 大唯作心・捨倶・智不相応・無行
  • 大唯作心・捨倶・智不相応・有行

三因

因が3つ含まれる心です。

因:無貪+無瞋+無痴

欲界善心の智相応4×3=12
  • 大善心・喜倶・智相応・無行
  • 大善心・喜倶・智相応・有行
  • 大善心・捨倶・智相応・無行
  • 大善心・捨倶・智相応・有行
  • 大異熟心・喜倶・智相応・無行
  • 大異熟心・喜倶・智相応・有行
  • 大異熟心・捨倶・智相応・無行
  • 大異熟心・捨倶・智相応・有行
  • 大唯作心・喜倶・智相応・無行
  • 大唯作心・喜倶・智相応・有行
  • 大唯作心・捨倶・智相応・無行
  • 大唯作心・捨倶・智相応・有行
色界心15
  • 色界善心・初禅~第五禅(5)
  • 色界異熟心・初禅~第五禅(5)
  • 色界唯作心・初禅~第五禅(5)
無色界心12
  • 無色界善心・空無辺処~非想非非想処(4)
  • 無色界異熟心・空無辺処~非想非非想処(4)
  • 無色界唯作心・空無辺処~非想非非想処(4)
出世間心8
  • 預流道・果
  • 一来道・果
  • 不還道・果
  • 阿羅漢道・果
合計 12+15+12+8=47

ちなみに、不善心に3因が含まれることはありません。なぜなら、貪と瞋は逆の性質なので、同時に含まれる事はないからです。すなわち、貪は対象に執着する性質があり、瞋は対象を拒絶する性質があります。

まとめ

  • 無因心18
  • 一因心2
  • 二因心22
  • 三因心47
で、合計 89 となります。また、一因心~三因心までをまとめて有因心と呼びます。