四正勤

正勤とは正しい努力という意味です。正しい努力は4つあります。

断勤

すでに生じた悪を遮断する努力のこと。すでに生じた悪とは、現世だけでなく過去世でなした悪も含まれます。

例えば、悪いことをして公開することは断勤ではありません。それを反省し再び悪行為をしないように気を付けることが断勤です。

律儀勤

未だ生じたことがない悪を生じさせない努力のこと。未だ生じたことがない悪とは過去世を除いた現世のみで生じたことのない悪を指します。

修勤

未だ生じたことがない善を生じさせる努力のこと。未だ生じたことがない善とは現世、過去世において生じたことのない世間善、出世間善を指します。

随護勤

すでに生じた善を増大させる努力のこと。すでに生じた善とは、現世、過去世での世間善のことです。



これら四正勤の自性は精進心所ですが、すべての心の精進心所が当てはまるではありません。まず、これらは善の行為ですので、不善心の精進心所は該当しません。該当するのは全身に相応する精進心所のみです。

また、善心でも善異熟心に相応する精進心所も該当しません。

さらに、阿羅漢のみに生じる唯作心に含まれる精進心所はこれらには含まれません。なぜなら阿羅漢は全ての悪が断たれており、上のような精進は不要だからです。

そして、果心4に相応する精進心所も、上の4つの精進作用とは関係ありません。(果心は道心の異熟心だから)

つまり、大善心8+色界善心5+無色界善心4+道心4=21の善心に相応する精進心所が、四正勤の自性となります。