死ぬときの所縁の出現

「死ぬ前に幻覚が見える」と言われますね。実際に、この幻覚とは業・業相・趣相と呼ばれ、死ぬ直前に適宜、所縁として六門に表れます。

つまり、業・業相・趣相が所縁となって見えたり、聞こえたり、匂いがしたり、味がしたり、触れられたり、心で感じたられたりします。

では、業・業相・趣相とは何でしょうか?

以下に順番に説明します。

業が所縁となる場合

来世に結生異熟をもたらし得る、現世または過去世の善・不善業が所縁として感じられます。

業相が所縁となる場合

業相とは、業をなすときに見たり聞いたりしたあらゆる所縁のことです。

さらに業相には
  • すでに得られた業相
  • 手段となった業相
の2種類あります。

例えば、仏に花を供える場合
  • 仏・・・すでに得られた業相
  • 花・・・手段となった業相
となり、仏に花を供えるときの善心に相応する思心所が業になります。

また別の例えでは、動物を刃物で殺す場合
  • 動物・・・すでに得られた業相
  • 刃物・・・手段となった業相
となり、動物を刃物で殺すときの不善心に相応する思心所が業になります。

趣相が所縁となる場合

趣相とは、これから結生するであろう地に得られる、すべての所縁のことです。

趣相にも以下の2種類あります。
  • 得られるべき趣相
  • 受用の趣相
得られるべき趣相とは、これから結生する場所のことで、人間界なら母胎、地獄なら地獄、餓鬼なら森・山・川など、天界なら天界になります。

受用の趣相とは、それぞれ結生した場所で得られる受用物のことで、人間界なら家・建物・従者・野犬などで、地獄なら地獄の炎など、天界なら天女・天食などです。