欲界の生まれ方の種類

仏教では生命の生まれを次の4つであると説明しています。
  • 湿生・・・腐った水などに結生する蛆虫など
  • 化生・・・神々、梵天など
  • 胎生・・・人間や哺乳動物など
  • 卵生・・・鳥、爬虫類、両生類、魚など
これら生まれの種類によって、生まれたときにどんな物質を備えているかが異なります。

湿生、化生で生まれるとき

湿生、化生で生まれる生命は、生まれたときに最高で次の7の十集を備えて生まれてきます。
  1. 眼十集
  2. 耳十集
  3. 鼻十集
  4. 舌十集
  5. 身十集
  6. 性十集(男性or女性)
  7. 基十集
しかし、少ない場合は眼、耳、鼻、性の十集が得られず
  1. 舌十集
  2. 身十集
  3. 基十集
の3つの十集のみを備えて生まれる生命もいます。

胎生、卵生で生まれるとき

胎生、卵生で生まれる生命は、受精した瞬間次の3の十集が現れます。
  1. 身十集
  2. 性十集
  3. 基十集
この3つの十集をカララといいます。

そして、その後次第に成長して(細胞分裂して)、11週目(あるいは7週目)ころになると
  • 眼十集
  • 耳十集
  • 鼻十集
  • 舌十集
などが現れてきます。

業縁時節生色

カララは業生聚の集まりであり、業生聚には時節という火界(不簡別色に含まれる)が含まれています。

この時節によって、時節生色が生じ、その中に含まれる時節によって、さらに時節生色が生じます。

このように次々と時節生色が生じてカララが大きくなっていきます(細胞分裂)。

このときの時節生色は業に基づくことから、業縁時節生色といいます。

心縁時節生色

また、カララの時にすでに心ははたらいているので、それによって心生聚も次々に生じます。

さらに、それらの心生聚にも時節が含まれているので、業生聚の場合と同様に時節生色も次々と生じることになります。

このときの時節生色を心縁時節生色といいます。

食縁時節生色

私たちが食べ物から栄養を摂取するようになると、食生色が生じるようになります。

そして、その食生色にも時節が含まれているので、業生聚・心生聚の場合と同様に時節生色も次々と生じることになります。

このときの時節生色を食縁時節生色といいます。

四起因色聚の相続

色は性質上、生じては滅しを繰り返しています。

このとき、どのように生じどのように滅していくかという一連の流れを相続と呼びます。
  • 業生色
  • 心生色
  • 時節生色
  • 食生色

のそれぞれに特有の相続の流れがありますので、順番に見ていきましょう。

業生色の相続

心は生住滅の3つの状態(刹那)を繰り返し、生まれては滅しを繰り返しています。

私たちが生まれるとき、受精した瞬間に結生心が生まれます。

この結生心も厳密にいうと生住滅の生の状態からスタートしますね。この、この結生心の生の状態のときに最初の業生色(カララ)が生じます。

以降あらゆる刹那に業生色が生じ続けます。もちろんこのときの業生色は過去業によって生じているわけですね。

心生色の相続

結生心の次に生まれる最初の有分心(第一有分心)の生の状態のときに最初の心生色が生じます。

以降、心生色の原因となる75の心の生の状態のときに心生色が生じ続けます。

なぜ生の状態の時に心生色が生じるかというと、心は生の状態(生まれるとき)が一番エネルギーが強いからです。

時節生色の相続

結生心の住の状態の時に最初の時節生色が生じます。

そのときの時節生色は、結生心の生の状態の時に生まれた業生色に含まれる時節(火界)によって生じるため、業縁時節生色と言われます。

以降、色の住の状態である49刹那の間に色に含まれる時節が原因となって次々と時節生色が生まれます。

食生色の相続

体内の滋養素と、食べ物の滋養素が結合して食生色が生じます。

四起因色聚の断滅

相続とは、どのように生じどのように滅しを繰り返すかという一連の流れのことでした。

断滅とは、どのように終わりを迎えるかというような意味です。つまり、私たちが死ぬとき、身体には新しく物質が生まれなくなります。この状態を断滅といいます。

死心路

業生色の断滅

業生色は死心からさかのぼって17心刹那の有分心の生の状態のときに最後に生じ、住の状態以降は生じません。

そして、このときに生じた業生色は17心刹那の寿命がありますから、ちょうど死心が滅すると同時に滅することになります。

心生色の断滅

また心生色は心の生の状態の時に次々生じる性質があるので、最後の心生色は死心の生の状態の時に生じます。

このときの心生色も17心刹那の寿命があるので、死心が滅して16心刹那(48刹那)の後に滅します。

食生色の断滅

また食生色は体の内外の滋養素の結合によって生まれます。

この内外の滋養素の結合は心が働いている限り行われ続けるので、結果的に死心の滅の状態のときに最後の食生色が生まれます。

時節生色

時節生色は物質に含まれる時節(火界)を原因として生じます。

つまり、私たちの身体が死体となっても、その死体に時節は含まれるため、次々と生じ続けることになります。

死体が黒ずんだり、腐敗したりというのは時節生色が生じているといえます。