複所縁心

複所縁心

欲界所縁・大所縁・施設所縁をとる

所縁を界で分類した場合、
  • 欲界所縁(欲界レベル)
  • 大所縁(色界・無色界レベル)
  • 無上所縁(出世間レベル)
  • 施設所縁
の4つに分かれます。つまり、ここでは無上所縁以外のすべての所縁をとる心のグループになります。
  • 不善心12(速行)
  • 智不相応・大善心4(速行)
  • 智不相応・大唯作心4(速行)
の合計20です。

はたらきで言うと、これらの心はすべて速行のはたらきをします。不善や智不相応心は出世間レベルの無上所縁によって生まれる事はありません。

阿羅漢道心・果心をのぞく全ての所縁をとる

阿羅漢道心・果心をのぞく全てを所縁とする心は次のとおりです。
  • 智相応・大善心4
  • 色界善心・第五禅(神通)1
ここで注意が必要なのは、心は上位の所縁をとれないという事です。

例えば、一来果に悟った人の場合、不還道・果心を所縁とできません。まだ、体験したことのない上位の心が所縁となる事はありえないからです。

同じように、例えば色界善心・第四禅が生じる場合、第五禅が所縁になる事はありません。

また、阿羅漢の善心は唯作心となるため、ここでの分類で阿羅漢道心・果心が所縁になることはありません。

全ての所縁をとる

全ての所縁をとる心はお釈迦様にしか生じないとされています。一切知者であるお釈迦様が次の心を生じさせた場合、すべてが所縁となり得るわけです。
  • 智相応・大唯作心4
  • 色界唯作心・第五禅1(神通)
  • 意門引転心1
この中で言うと、私たち一般人にも意門引転心は生じますが、それはたいていの場合欲界所縁をとっていることがほとんどです。

阿羅漢になっていない人が阿羅漢果心を所縁として意門引転心を生じさせることは不可能です。このように、これらの心はすべての所縁をとり得ると表現した方が適切かもしれません。