単所縁心

単所縁心

欲界所縁のみ

まず、欲界所縁のみを対象とする単所縁心についてです。欲界所縁のみを対象とする単所縁心はさらに、
  • 1つの欲界所縁をとる心
  • 5つの欲界所縁をとる心
  • 6つの欲界所縁をとる心
の3つに分類できます。

1つの欲界所縁をとる心(五識界)

これに該当する心は、無因善・不善異熟の五識、すなわち以下の10心になります。
  • 眼識×2
  • 耳識×2
  • 鼻識×2
  • 舌識×2
  • 身識×2
これらの心はそれぞれ
  • 眼識×2 ⇔ 色所縁
  • 耳識×2 ⇔ 声所縁
  • 鼻識×2 ⇔ 香所縁
  • 舌識×2 ⇔ 味所縁
  • 身識×2 ⇔ 触所縁
のように1種類ずつの欲界所縁しかとりません。

5つの欲界所縁をとる心(意界)

これに該当する心は意界と呼ばれる以下の3心です。
  • 五門引転心1
  • 領受心2
これらの心は
  • 色所縁
  • 声所縁
  • 香所縁
  • 味所縁
  • 触所縁
の5所縁をとります。

6つの欲界所縁をとる心

これに該当する心は彼所縁11、笑起心と呼ばれる以下の12心です。
  • 大異熟心8
  • 無因不善異熟推度心1
  • 無因善異熟推度心2
  • 笑起心
これらの心は
  • 色所縁
  • 声所縁
  • 香所縁
  • 味所縁
  • 触所縁
  • 法所縁(欲界所縁の)
の6所縁をとります。

ここで注意ですが、法所縁はすべての法所縁ではなく、あくまで欲界所縁に含まれる中での法所縁です。

すべての法所縁は
  • 浄色5
  • 細色16
  • 心89
  • 心所52
  • 涅槃
  • 施設
ですが、

心89のうち欲界所縁に含まれるのは欲界心54であり、涅槃・施設も欲界所縁でないことから、ここで該当する法所縁は以下のようになります。
  • 浄色5
  • 細色16
  • 心54
  • 心所52

大所縁のみ

大所縁とは、色界心・無色界心とそれらに含まれる心所のことです。大所縁のみを所縁としてとる単所縁心は以下の6つです。
  1. 無色界善心・第二(識無辺処)
  2. 無色界善心・第四(非想非非想処)
  3. 無色界異熟心・第二
  4. 無色界異熟心・第四
  5. 無色界唯作心・第二
  6. 無色界唯作心・第四

無色界善心について

  • 第二善心は必ず第一善心を所縁として生まれます。
  • 第四善心は必ず第三善心を所縁として生まれます。

無色界異熟心について

第二善心で死んだ場合、次の生は第二異熟心で生まれます。このときの第二異熟心は、過去生につくった第一善心の業相を所縁とします。第四と第三の関係も同様です。

無色界唯作心について

阿羅漢前に、第一善心を得、阿羅漢後に第二唯作心を得た場合。

このときの第二唯作心は、阿羅漢前の第一善心を所縁として生じます。

阿羅漢後に、第一唯作心、第二唯作心を得た場合。

このときの第二唯作心は、第一唯作心を所縁として生じます。第四と第三の関係も同様です。

施設所縁のみ

施設所縁だけを対象とする単所縁心は次のとおり。
  • 色界善心15
  • 無色界善心6(無色界善心第一・第三、無色界異熟心第一・第三、無色界唯作心第一・第三)
いわゆる色界・無色界の心は、一部を例外として施設所縁を対象に生まれるという事ですね。

涅槃のみ

涅槃とはすべての苦しみが滅尽した状態であり、悟りの境地です。つまり、次の8つの出世間心が涅槃だけを対象に生まれます。
  • 預流道心・果心
  • 一来道心・果心
  • 不還道心・果心
  • 阿羅漢道心・果心