門で分類する

門とは、もともと家などの入り口を意味するように、心が生まれる入り口になる場所の事を指します。

門は、次の6つあります。
  • 眼門・・・眼基色
  • 耳門・・・耳基色
  • 鼻門・・・鼻基色
  • 舌門・・・舌基色
  • 身門・・・身基色
  • 意門・・・有分心→心基色ではない
眼基色などの表現をしていますが、つまり(眼、耳、鼻、舌、身)の事です。色とは物質の事ですね。

ただ、意門とは心基色という物質ではなく、有分心であるところがポイントです。

五門に依存して生まれる心の分類

五門とは、眼、耳、鼻、舌、身のことです。

例えば眼門について見てみましょう。
  1. 五門引転心 1
  2. 眼識 2
  3. 領受心 2
  4. 推度心 3
  5. 確定心 1
  6. 欲界速行心 29
  7. 彼所縁 8
これらが、眼門に依存して生まれる心の流れです。ここでポイントは欲界速行心29となっているところです。

速行心とは
  • 善心×21(大善心、色界善心、無色界善心、出世間道心)
  • 不善心×12
  • 出世間果心×4
  • 唯作心×18(笑起心、大唯作心、色界唯作心、無色界唯作心)
の全部で55あります。しかし、色界心・無色界心・出世間心は、何かを見ることによって生まれる心ではありません。
  • 色界心・無色界心は施設を対象として生まれる。
  • 出世間心は涅槃を対象として生まれる。
そのため、欲界心の速行心だけが対象となり29となります。(赤字の部分)また、耳、鼻、舌、身に関しても同様です。

意門に依存して生まれる心の分類

意門に依存して生まれる心の流れは次のとおり
  1. 意門引転心 1
  2. 速行心 55 (欲界速行29+安止速行26)
  3. 彼所縁 11
安止速行とは欲界以外(色界、無色界、出世間)での速行心のことです。つまり、色界、無色界、出世間での速行心ですね。

五門での分類のとき、彼所縁は8でしたが、推度心3つを含んでいなかったためです。(推度のはたらきのときにすでにカウントしていたため)

意門に依存して生まれる心の流れには推度のはたらきがありませんので、推度心は彼所縁としてはたらき、合計で11となります。

離門心

離門心とは、五門に依存して生まれるとも、意門に依存して生まれるとも言えない心の事です。

つまり、結生・有分・死のはたらきをするときの
  • 捨倶・推度心 2
  • 大異熟心 8
  • 色界異熟心 5
  • 無色界異熟心 4
の、計19の心をさします。

なぜなら、これらの心は五門によって生まれる心ではありません。また、それぞれ自体が有分心(意門)であることから、意門によって生まれるとも言えません。

離門心は、
  • 業相
  • 趣相
のみを対象として生じます。

門と心の関連表

五門 意門 離門 門の
眼門 耳門 鼻門 舌門 身門
五門引転心1  ○  ○  ○  ○  ○
眼識2  ○
耳識2  ○
鼻識2  ○
舌識2  ○
身識2  ○
領受2  ○  ○  ○  ○  ○
喜倶・推度心1  ○
推度
 ○
推度
 ○
推度
 ○
推度
 ○
推度
 ○
彼所縁
捨倶・推度心2  ○
推度
 ○
推度
 ○
推度
 ○
推度
 ○
推度
 ○
彼所縁
 △
有分
大異熟心8  ○
彼所縁
 ○
彼所縁
 ○
彼所縁
 ○
彼所縁
 ○
彼所縁
 ○
彼所縁
 △
有分
確定心(意門引転心)1  ○
確定
 ○
確定
 ○
確定
 ○
確定
 ○
確定
 ○
引転
欲界速行29
  • 不善心12
  • 笑起心1
  • 大善心8
  • 大唯作心8
 ○  ○  ○  ○  ○  ○
 安止速行26
  • 色界善心5
  • 色界唯作心5
  • 無色界善心4
  • 無色界唯作心4
  • 出世間心8
 ○
上二界異熟9
  • 色界異熟心5
  • 無色界異熟心4
 △
有分
 それぞれの門に依存して生じる心の数 46 46 46 46 46 67 19

離門は6門に依存しない心なので、対応する門の数には含めません。複数のはたらきをもつ心は、それぞれその時のはたらきを書きました。