色界善心

色界善心は、色界の生命に生まれやすい善心です。

色界とは、欲界よりも次元の高い世界ですから、不善心が生まれる事はありません。

例えば、あなたが大学生だったとして、テストで足し算が出てきたらどう思いますか?

『何でこんな事今さらやんなきゃいけないの!?』ってばかばかしく思いますよね。

同じように、不善心をつくる事自体がもはやありえないのです。不善心を乗り越えるテストは簡単にクリアしてしまっているからです。

さて、そんな色界善心はさらに5段階に分類されます。
  • 初禅
  • 第二禅
  • 第三禅
  • 第四禅
  • 第五禅
詳しい説明に入るまえに、心についておさらいしておきましょう。

コーヒーをイメージしてください。コーヒーは水にコーヒーの成分が溶けることでできています。

水+コーヒーの成分=コーヒー

という事ですね。

水に溶かす成分を変えれば、できあがる飲み物も変わります。

同じように、心という水に心所という成分を溶かすことで、色々な種類の心ができます。

それが、不善心、無因心、大善心などでしたね。

色界心ではこの心の成分が大切なポイントです。ポイントになる成分は次の5つです。
  • 楽(受)
  • 一境性
これらが、色界善心の各ステージに関係してきます。

初禅

色界善心の最初のステージが初禅です。初禅に入るためには、次の要素を同時に満たす必要があります。
  • 楽(受)
  • 一境性
この5つを合わせて、禅支といいます。手、足、頭、胴体を合わせて体というのと同じイメージですね。まあ、色界心をつくる部品と言いましょうか。

詳しくは心所のところで触れますので、ここでは簡単に説明します。
  1. 尋・・・いわゆる考えることです。
  2. 伺・・・細かく観察することです。
  3. 喜・・・対象を好むことです。
  4. 楽・・・苦しみがなく安楽な感覚です。
  5. 一境性・・・集中力のことです。
トレーニング(サマタ瞑想)によって、この5つの要素がバランスよく高まったときに、初禅というステージに到達できます。

第二禅

第二禅になると、尋が消えて、
  • 楽(受)
  • 一境性
の4つの要素になります。まるでロケットが、加速しながら、いらなくなった燃料タンクを切り離していくようなイメージでしょうか。

第三禅

第三禅になると、伺が消えて、
  • 楽(受)
  • 一境性
の3つの要素になります。

第四禅

第四禅になると、喜が消えて、
  • 楽(受)
  • 一境性
の2つの要素になります。

第五禅

第四禅になると、楽(受)も消えて、
  • 捨(受)
  • 一境性
だけになります。

もうここまで来ると、他の支えは必要なくなるのですね。集中力だけが、抜群に研ぎ澄まされている状態です。

楽も消えた事で、感覚は完全に平静な状態(捨)になります。